エンジンオイルの役割
    エンジンオイルは、単にこすれ合う部品同士の摩擦を減らすだけでなく、

    エンジンの中で主に5つの働きをしている。

   1.潤滑作用   金属表面に油膜を形成し、こすれ合う金属同士の摩擦を減らし磨耗を抑える作用。

             エンジンオイルのメインとなる働き。

   2.冷却作用   燃焼や摩擦によって発生する熱を、パーツに触れることで直接吸収し冷却する作用。

             油冷エンジンやオイルクーラーは、その作用をより積極的に利用するメカニズム。

   3.防錆作用   金属表面を油膜で覆うことで、水分や空気が直接触れることを抑え、

             金属表面のサビの発生を防止する作用。

   4.密封作用   ピストンとシリンダーの隙間を埋めることで、圧縮圧力や爆発圧力が漏れるのを防ぎ、

             動力性能をキープする作用。

   5.清浄分散作用  燃料に伴って生成されるカーボンやスラッジなどの不純物をオイルの中に

               取り込んで分散させ、エンジン各部に堆積するのを防止する作用。
   エンジンオイルの成分
   エンジンオイルは、ベースオイル又は基油と呼ばれるオイルに各種の添加剤をブレンドして

   作られていて、添加剤の量は10%前後から多いもので30%近 くにまで及び、添加剤なしで現在の

   オイルは成り立たないのが実情だが、それでも全体の70~90%はベースオイルが占めており、

   ベースオイルそのものの 性能が製品としてのオイルの性能を大きく左右する。

   ベースオイルは、その製造方法によって鉱物油、半化学合成油、化学合成油の3種類に大別できる。


   【鉱物油】       原油を蒸留してガソリンや軽油、ナフサなどを抽出した後に残る常圧残油を

                ベースに、精製を重ねて硫黄やベンゼン、パラフィンといった不純物を取り除いて
             
                ベースオイルとしたもの。安いコストで製造できるのが最大のメリットだ。 

   【水素化精製油】   水素化精製という特殊な技術を使い、常圧残油の成分分子を潤滑油に適した

                性質に組み替えたもの。

                それまで化学合成油でしか実現できなかった低粘度化やワイドマルチグレード化を

                鉱物油ベースで実現できるため、使用比率が高まっている。

                メーカーによって 精製手法が異なり、化学合成油に位置づけているメーカーもある。

   【部分合成油】    化学合成油に、鉱物油もしくは水素化精製油をブレンドしてベースオイルとしたもの。

                鉱物油のローコストと化学合成油の性能を兼ね備えたコストパフォーマンスに優れる

                ベースオイルとして、かなり広い範囲で使用されている。

   【化学合成油】    ナ フサ、天然ガス、エチレンなどを一度成分ごとに分解し、潤滑剤として必要な成分

                だけを抽出して組み替えたベースオイル。特に高温時の粘度特性やせん断安定 性、

                低温流動性に優れた特性を持ち、分子構造が均一で不純物も含まれないことから、

                スラッジの発生や蒸発損失も少ない。PAO(ポリアルファオレフィ ン)、

                XHVI、エステルの3種類がよく知られている。
   エンジンオイルの規格
   オイルは目で見て性能を判断することができないため、客観的に判断する基準としてグレード表示が

   設けられている。ただし、国、地域、目的別に複数のグレードが存在しており、オイルの性能を正確に

   判断するにはある程度の知識が必要となる。
   SEA粘度  10W-40

  上記 「10W 」
      低温粘度:低温時の粘度を表した数字
      この数字が小さいほど低温でもオイルが
      硬くなりにくい。 「W 」はWINTER(冬)の略

  上記 「40」
      高温粘度:100℃での粘度を表した数字
      この数字が大きいほど高温時にも粘度が
      低下しにくく、しっかりとした油膜を保つ。

 
 ■API SERVICE規格:
  アメリカ石油協会規格


 ■ILSAC規格:
 国際潤滑油標準化承認委員会


 ■ACEA規格:
  ヨーロッパ自動車工業会規格


 ■JASO規格:
  日本自動車技術会規格
 
 
 
 
 
 規格の違いや単位の違いは

ありますが、実際の内容は

ほぼ同一規格ですね。

およそアメリカの基準をベース

に地域毎の環境に合わせた

基準が付加されているようです
    ギアオイルについて
    クルマではMT(マニュアル・トランスミッション)やデフ、トランスファー。バイクでは2サイクルエンジンの

    ミッションやハーレーダビッドソンのような別体式ミッション、シャフトドライブのリアデフ、スクーターの

    リアホイールギアの潤滑に使われているのがギアオイル。
  ■ギアオイルの性能分類
   
   ギ アオイルの性能分類で広く使われているのがAPIのGL規格で、GL-1、GL-2、GL-3、GL-4、GL-5、GL-6の

   6グレードに分類されており、現在使われているのはGL-3以上。数字が大きくなるほどより強いギア同士の当

   たりに耐えるオイルとなっており、デフに使われている歯面のあたりの強 いハイポイドギアに対応していること

   から、GL-4、5、6を「ハイポイドギアオイル」と呼ぶケースもある。

   基本的な用途はGL-3がトランスミッション、GL-4がトランスミッションおよびデフ、GL-5がLSDを含むデフ、

   GL-6は高性能スポーツカーのLSD向けとされているが、排気量やギアの構造によってはGL-5、GL-6を

   ミッションに使用するケースもある。
  ■ギアオイルの粘度表示

   ギアオイルのSAE粘度表示には80W-90や85W-140といった数字が使われており、かなり硬い印象を受けるが、

   これはエンジンオイルとの混用を避けるために独自の規格で表示されている。 
  ■二輪用ギアオイルについて…

   バ イクの場合、2サイクルエンジンのミッションにはGL-3クラスのギアオイルもしくは10W-40クラスの

   4サイクルエンジンオイル。4サイクルエンジン の別体ミッションにはGL-4、5クラスのハイポイドギアオイル。

   原付クラスのスクーターのリアホイールギアにはGL-3クラスのギアオイル。ビッグス クーターのリアホイール

   ギアとシャフトドライブのリアデフにはGL-4以上のハイポイドギアオイルを使うのが一般的だ。
  ■JASO ディーゼルオイル規格
   
   JASOのディーゼルエンジン用オイル規格は、ディーゼルエンジンへの排ガス規制や軽油の低硫黄化が

   強化される傾向が強まった2001年に初めて制定された。それまで国内ではディーゼルエンジンにはAPI

   規格で対応していたが、国内と海外での排ガス規制の違いが大きくなり、またエンジン設計の違いなども

   ありAPI規格では国内のディーゼルエンジンに対応するのが難しくなっていたため、国内ではCG-4以降の

   API規格は国内では使用されず、JASO規格が用いられる。
 
       
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