ホイルアライメント/その2  
 
     アライメントと言っても、専門的な事柄が多く、とてもわかりにくいのが現状です。

     そこで、各名称とその意味合いをサラッと復習してみます

     自分にもわかるように、その役割についても記載しています。
   『トー角とは』  

 
 タイヤを上から見ると左右のタイヤの幅が前方が後方に

比べて短くなっています。 この角度をトーといいます。

 トーの役割は直進安定性の確保、タイヤの横すべり量の

低減、ステアリング特性の確保をします。

 トーが異常だとタイヤの方減りやハンドルのふらつき、

ハンドルの位置ずれ、ハンドルの振動、 前後差による

ステアリング特性の変化などの症状が発生します。
    トーインの役割
  タイヤの抵抗によるトーアウト化の防止

   前輪にプラスキャスタがつけられていると、直進時でも駆動力に応じて常に前開きになるように

   モーメントが働きます。そこで、あらかじめトーインをつけることで走行中、トーアウトになることを

   防止しています。

  キャンバによる、トーアウトの防止

   プラスキャンバが付けられているタイヤはクルマの外側に進もうとします。ところが左右の車軸は

   前輪の場合、タイロッドで連結されているため外側に進もうとする力は横すべりとなって

   タイヤの磨耗を早めることになります。
  
   そこで、トーインをつけタイヤを内側に進ませようとすることでたがいに打ち消し合い、

   結果としてタイヤを直進させます。
 
   トーによる不具合 
   トーイン過大
   タイヤは常に外側から内側へこすられている状態となるため、内側に向かった羽根状のギサギザが

   できます。また、前輪の左タイヤだけ磨耗が早いケースもあります。
   
   これは、トーインがそれ程過大でない場合に発生します。

   かまぽこ状の道路では車両本体が路面の低い左側にずれます。ドライバーはこれを直すため、

   常に右側ヘステアリングホイールを切っていることになり、この結果、右前輪は走行方向とほぼ

   同じ向きになりますが、左前輪はかなり内側にこすられながら進むことになります。

  トーアウト過大

   タイヤは常に内側から外側へこすられる状態となるため、外側に向かった羽根状のギサギザが

   できます。また、前輪の右タイヤだけ磨耗が早いケースもあります。

   これは、トーアウトがそれ程過大ではない場合に発生します。

   かまぽこ状の道路では車両全体が路面の低い左側にずれます。ドライバーはこれを直すため、

   常に右側へステアリングホイールを切っていることになり、この結果、左前輪は走行方向とはぼ

   同じ向きになりますが、右前輪はかなり外側にこすられながら進むことになります。
    『キャンバー角とは』
    タイヤをクルマの前方から見ると、地面に対して垂直で

 はなく外側(又は内側)に傾いています。

 この傾斜したタイヤの中心面と垂直線のなす角度をキャンバ角

 といいます。キャンバの役目はコーナリング性能向上と

 ハンドル操作力の低減、荷重変化への対応をします。

 キャンバ角が異常だとタイヤの方減り、ハンドルふらつき、

 左右差によるハンドル流れなどの 症状が発生します。
   キャンバーの役割 
  ステアリング操作力の軽減

   キングビン軸延長線の地面交点とタイヤ接地中心との距離をキングピン オフセットと呼んでいます。

   一般にオフセットが長くなればなるほどタイヤの向きを変えようとする時、

  より大きな力が必要となります(タイヤはキングビン軸を中心に旋回するため)。

  そこで、キャンバーをプラス側に設定することでオフセット値を小さくし、ステアリング操作力を

  軽減することができます。

  荷重時の適正キャンバー

   サスペンションの違いにより程度の差はありますが一般に荷重が加わるとキャンパーは

   マイナス側へずれます。

   そこで、あらかじめプラス側にキャンバーを設定しておくことで荷重時、

   タイヤが下開きになることを防げます。

  旋回性能の向上
  
   旋回時、外側のタイヤには大きな横荷重と縦荷重が加わります。そのため、キャンバーは

   プラス側に引き込まれ路面との接地性が悪くなります。

   そこで、あらかじめマイナス側にキャンバーを設定しておくことで、旋回性能の向上が図れます。

   マイナス キャンバーはFF車に多く見られます。
    キャンバーによる不具合
   過度のキャンバー

   プラス側にキャンバーが設定されていればタイヤの外側が、逆にマイナスであれば内側が

   早く磨耗します。

   偏磨耗の防止という面から考えるなら、キャンバー-はゼロが最も適切ということになります。

   ただし、実用的には約1°以下の角度であれば大きな偏磨耗は発生しません。

  過度の左右差

   キャンバーの左右差が約30′を超えると、よりプラス側の方向へステアリングは流れます。

   ドライバーはこれをおぎなうため、常に反対側へステアリング ホイールを切ることになるため、

   ステアリング機構の磨耗を早めることになります。
    『キャスター角とは』
    タイヤの向きを変える軸をキングピンといいます。

 このキングピンはクルマの進行方向に対して後へと

 傾いているのですが、 このキングピンの前後方向への

 傾斜角をキャスタ角と呼びます。

 キャスタの役目として旋回後の直進状態への復元力の

 向上、旋回性能の向上をさせています。

 キャスタ角が異常だとハンドルのふらつき、左右差による

 ハンドルを切ったときの戻りの違い、左右差による

 ハンドル流れ、 ハンドル取られなどの症状が発生します。
   キャスタの役割 
   キャスタトレールによる直進性

   キングピン軸延長線の路面交点とタイヤ接地中心との距離をキャスタトレールといいます。

   キャスタトレールによってキングピン軸上には常に復元モーメントが発生しており、

   直進時はタイロッドで打ち消し合っています。旋回時になると、外側車輪のモーメントが大きくなり、

   直進しようとする復元力となります。

  キャスタ角度による直進性

   プラス側にキャスタを設定すると、旋回時、内側車輪のスピンドルは路面との距離が短くなります。

   ところが、車両本体の荷重による反カでスビンドルは上方へ持ち上げられようとします。

   その結果、内側車輪に復元力が発生し直進性を高めることになります。
    キャスタによる不具合
  マイナスキャス夕

   現在では外車の一部にしか採用されていません。マイナスにすることで、直進性はおろか巻き込み

   現象が発生します。これは、椅子などに付いているキャスタを後ろから押すと、

   すぐに反対側に向くのと同じ現象です。

   ホイールがキングビン軸によって引かれるのではなく、押されるために起こります。

   わずかなマイナスキャスタを付けても走行安定牲が得られるのは、キングピン角度による

   方向安定性を初め、スタビライザなどの装着によっても助けられているためです。

  ゼロキャスタ

   キャスタによる走行安定性は全く得られません。クルマは常にウェーブぎみとなります。

  過小キャスタ
  
   特に旋回後のハンドル戻りが悪くなります。直進時にはワンダぎみとなります。 

  過大キャスタ

   旋回時、ステアリングホイールを保持するのに大きな力が必要となります。

   また、常にステアリング機構に大きな力が加わることになるため、各部のガタやゆるみを

   早めることになり、低速シミーの発生原因にもなります。

   従って、ステアリング機横のガタやゆるみからくる低速シミーは、

   キャスタを減少させることである程度まで改善できても、根本的な解決になり得ません。

   まず、ポールジョイントを交換してステアリング機構のゆるみを修正し、ホイ一ルのバランスを正しく

   修正してあげなくてはなりません。なお、リヤスプリングをたるませるような荷重が加わると

   キャスタも増加し、不具合の発生原因になることもあります。

  左右不等キャスタ

   一般的に左右の差が約30′を超えるとクルマは小さい方へ流れます。また、高速時にワンダぎみになる

   こともあります。後部のどちらか一方に重い荷重を積ませたりするとキャスタの左右差が発生して

   ステアリングホイールの流れが生じます。
    『キングピン角度とは』
   クルマの前方からキングビン軸をみると上部が車両

 内側へ傾けて取り付けられています。

 この傾きをキングビン角度といいます。キングピン軸

 延長線の路面交点とタイヤ接地中心との距離を

 スクラブラジアスといい、路面交点がタイヤ接地中心より

 内側にある場合、ポジティブスクラブラジアスと呼びます。
   キングピン角度の役割 
   ステアリング操作の軽減

   一般にキングビンオフセットが長くなればなるほど、タイヤの向きを変えようとする時、

   より大きな力が必要となります。(タイヤはキングビン軸を中心に旋回するため)。

   そこで、キングビン角度を設定することでオフセット値を小さくし、ステアリング操作力を

   軽減することができます。   〔キングビン軸 KPI/SAI〕

   前輪は旋回時ある中心軸を中心に向さを変えます。この軸を一般にキングビン軸と呼んでいます。

   ただし、車軸懸架装置の場合は確かにキングビンが存在しますが、Wウィッシュポーン型や

   ストラット型は実際上キングビンが存在しません。

   そこで、Wウイッシュポーンではアッパとロワーのポールジョイントを、ストラット型では

   サスペンションサポート中心とロワーポールジョイントを結ぷ仮想線がキングビン軸となります。

   ヨーロッパでは特にそれらの角度をキングビン角(K・P・I)とはいわず、

   S・A・I(ステアリング・アクシス・インクリネーション)と呼んでいます。

  キングピン角度による復元カの増大

   キングビン角度があると、ステアリングホイールを切ったとき、スビンドルの先端は

   直進状態より下がることになります。

   ところが、キャスタ角による復元力の場合と同様に、車両重量による路面からの反力でスピンドル

   は持ち上げられようとします。これがステアリングホイールの復元力として作用します。

  タイヤからの衝撃(キックパック)の軽減

   ブレーキをかけたときや障害物などにより、ホイールに大きな力が加わるとキングビン軸上に

   モーメントが発生します。

   このカはスクラブラジアスの長さに比例するため、キングビン角度をつけてオフセットを短くすれば

   するほど、衝撃をステアリングホイールに伝えにくくすることができます。
   「インクルデット角」
  タイヤを前方からみて、キングビン軸との傾きを表します。従って、

  インクルデット角はキングビン角とキャンバー角をたした数値となります。

  駆動力によるモーメントの低減

   ff車は一般にスクラブラジアスがたいへん短く設定されています。理由は、キックバック軽減の他に、

   駆動力による回転モーメントを極力小さくするためです。急発進時や急加速時、オフセットが長いと、

   キングビン軸を中心にモーメントが発生し、ステアリング機構に大きな力を加えます。
    『クレドル調整とは』
  サスペンションエンジンメンバーやサブフレームの取り付け状態を調整することをいいます。

  キャスター角やキャンバー角などの調整前に

  サスペンションメンバーやサブフレームが正しい位置になっていることは

  四輪トータルアライメントをする上で最も重要な要素です。
   
 
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